しみじみ*明日

北海道の小さな街から日々のしみじみを綴ります

「ハンナ・アーレント」を観て

前に、シアターキノでやっていたときに

見逃してしまい、悲しんでいたのだけど

蠍座でやっていたので、観てきた!

ハンナ・アーレント

ハンナ

蠍座って初めてで、名前から言って

古めかしいところかと思いきや

ビルの地下で、とっても綺麗。

映画を愛していることが伝わる、小さなシアターだった。

さそりざ

感動したのは、椅子!

赤くて、高さがあって、すっぽり包み込まれる感じで

腰にはそれぞれクッションが置いてあり

座り心地が良すぎて、実は映画の前半で眠気が・・・とほほ。

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ハンナ・アーレントはドイツ系ユダヤ人の高名な哲学者。

ナチス戦犯・アドルフ・アイヒマンの歴史的な裁判を傍聴し

ザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表するが

その衝撃的な内容に世界が揺れ

ハンナは批判を浴びる。

映画批評は、色々なところに載っているので

詳しくは書かないけれど

私たちは、何か事件が起こると

いや、事件とまでは行かなくても、日常生活の些細な事でも

「加害者」「被害者」

「あの人はこういう人」

というレッテルを貼り

その視点から物事を見てしまう。

それ以上の思考を停止して。

しかし、「凡庸な悪」とハンナが評した

アイヒマンと、同じ根っこを

哀しいかな、私たち、すべての人間が持っている。

「"思考の嵐″がもたらすのは

知識ではありません。善悪を区別する能力であり、

美醜を見分ける力です。

私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。

危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に至らぬよう。」

映画最後に出てくる、ハンナの講義。

8分間、圧巻だった。

鳥肌が立った。

ハンナ、かっこいい!!

しかしながら、いつも煙草をふかして

暗い瞳で「思索している」ハンナの姿が印象的だった。

考え抜くということは、

ある意味孤独な作業であり

ものすごく大変な事なんだ。

嬉しかったのは、夫や信頼できる友人の前では

ひとりの人間であり、女性であるチャーミングなハンナの姿。

ほっとした。

映画って素晴らしいですね!

サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ~

erino*